以下、感想です。
思春期と言うのは、テーマにした場合、その感情の不安定さから、
表現をするには非常に難しい素材です。
その中でも、危うさと無垢さという、両立する二つの感情をとらえた場合
この写真集は、見事にその二つを表現しています。
この二つの感情は、水と油の様に完全に相反した存在ではなく、
一件別物に見えても、必ず融合した部分を持ち合わせています。
物語のように時系列を経て、二つの感情を表現する事は出来ますが、
時間間隔の無い写真からそれを読み取る事は非常に困難です。
この写真集からはそれを見出す事が出来るので、
ノスタルジーにも似た存在感を感じさせられます。
少女の顔が見えないというところにも、
想像力を掻き立てられる何かがこの写真集にはあります。
正直、シチュエーションの分からない構図なども出てきますが、
映画で言う所のデビット・リンチや、スティーブン・キングの様な、
分からないからこそ深く追求してみたくなる、
分からないからこそ印象に残ると言う、
心理を突いて来る写真集であるとも思います。
構図については賛否両論もあるかとは思いますが、
否である人にも、一種サブリミナルのように、
心に強く印象付けられることは間違いないでしょう。
一度見終わっても、再度見てみたいという、 依存性のある写真集です。